ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読みました
海外の方と一緒に仕事する機会が多く、多様なメンバーの中で日本人だったり技術職だったりとマイノリティかも? と感じたことのある私にとっては、共感できるところが沢山ありました!
今までもこれからも、日本人同士でも、職種やポジションや経験の異なる人と一緒になる方に読んでもらいたい本です!
あらすじ
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。
興味深かったところ
これはみんなの話
主人公は、英国に住むブレイディみかこさんの中学生の息子さん
英国は階級社会であるということは知識として知っていたが、いろんな状況の人が同じコミュニティの一員として生活しているという現実を中学生の目線を通じたエッセイとして描かれている
でも、これって日本にも少なからずある状況だよね? 日本の子供たちもきっといろいろ感じているよね?
小学生高学年や中学生、さらに高校生になると自分と同じ境遇の友達も多いけど、いろいろな境遇の友達や自分の境遇についても徐々に分かってくる
学校や友達という外の社会と家族という内の社会の間で、振り回されたり振り回したり、傷ついたり傷つけたりしながら妙に大人ぶっていく姿とか…懐かしい気持になりました
大人になると仕事や住む所を自分で選べる可能性があるけど、子供の頃って自分の周りがすべてだった
そして、あの頃のことが今の自分の一部になっているんだろう
自分の個性はたくさんあっていい
今でこそ日本以外のルーツを持つ方や友達は多いものの、私が小学生の頃はずっと少なかったと思う…私が気づかなかっただけかもしれないが
私は小学校、中学校はいわゆる普通の公立学校だったが、引っ越しのため高校はカトリック系私立中高一貫校に転入した
主人公である息子さんとは逆パターンだったが、学校のルールや雰囲気だけでなく学生と親の考え方やタイプが正反対なことに共感し、多様性の少ない高校ではマイノリティだった自分と少し重なった
そして、両親の考えや行動が子供に大きな影響を与えていることも、この時なんとなく感じ取った
10代の頃は、自分が周りと違うことや同級生のあたりまえが自分にとってのあたりまえでないことに理不尽さを感じていたし、それが自分にはどうしようもできないと思っていた
でも、今思えば小さな悩みだったし、自分が思っている以上にできることは多かったはず
そんな気持ちを思い出し、あの頃より少し大人になったのかも? と思えた
未来はよくできる、そして明日は来る
子供にとって安心を感じられる、養育者から保護される安定した環境を安全基地と呼ぶようだ
安全基地に恵まれずに育つ人もおり、子供自身では安全基地を得られないこともある
しかし、生みの親や育ての親だけでなく、子供たちに目をかけている大人や子供たちに関わる大人も描かれていた
そして、子供だけでなく両親もまた悩みながらも前に進み、変わろうとする様子も描かれていた
ちょっとづつだけど、世界は良くなっていっているんじゃないかと思わせてくれた
おすすめしたい方
- 海外に住んだことや行ったことがある方
- 小学生から中学生、高校生、大学生などの学生の方
- 子供たちと接する機会の多い方
- 多様なメンバーのいるチームやコミュニティにいる方
- マイノリティかも? と感じたことのある方
扱っているテーマには考えさせられるものの、中学生の息子さんの出来事をエッセイとして書かれているので、本をあまり読まない方にもおススメです!
読んだら仲のいい友達や周りの家族に勧めたくなる本です!
さいごに
多様性という言葉は聞いても、実際の生活や仕事ではいつものメンバーや仕事に囲まれている人が多いはず
この本を読むと、多様なメンバーの一人としてチームやコミュニティにいることが具体的にイメージしやすく、普段の生活にも共通点が多いことに気づかされました
ベストセラー本や売れている本は世の中の多くの人に支持されていることだとすると、やっぱり世界はちょっとずついい方向へ向かっているんじゃないのかなと思いました
最後まで読んでくれてありがとう。
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