中村文則さんの「何もかも憂鬱な夜に」を読みました
自分の中ですごく考えさせられる、そして最後に一縷の希望を感じた本でした
なみぞう的気に入ったところや読んでほしい方をお伝えします
もし興味を持った方がいれば、ぜひ読んでみてください! 私は2回読みました!
何年後かに、もう一度読みたいなと思わせてくれる本でした。年齢や経験が変わると感じ方もすごく変わっていきそうな本です
あらすじ
施設で育った刑務官の「僕」は、十八歳のときに強姦目的で女性とその夫を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している――。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。
芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。
興味深かったところ
狂気をもっている
主人公である僕と自殺した友人と囚人、みんな精神的な不安定さや心の中に狂気をひそめていることが伝わってきます
中高生の頃であれば、だれしもが感じたことあるような孤独感をより一層引き立てるような登場人物ばかり
ある人は自殺してしまい、ある人は殺人してしまう、そして僕は…
100%の善人はいないだろうし、みんな本心では狂気を持っているはず…誰しもが持っているだろう狂気とどう向き合っていくのかが描かれています
希望を自ら作り出す
狂気と向き合い葛藤しながら、生きる意味や目的を自ら作り、誰かへ伝えようとする姿にとても希望を感じます
私は音楽、特にオーケストラが好きです。芸術の持つ美しさに感動することで、つらい中でも頑張ろうと思えたり希望を持つことができました
…ただし、芸術の美しさを感じるには感受性、つまりいろいろな芸術に触れることがとでも大事です
はじめはよくわからなくても、いろいろな芸術に触れることでちょとずつ良さが分かってくるものですよね
音楽や図工の副教科にも、きちんと意味ってあるんだね笑
あとがきにある、中村文則さんのメッセージにも希望を感じる内容になっています
そして伝えていく
狂気さと向き合うことで、次に伝える行動をとっていきます
ある人は世界の美しさを伝え、ある人は自分のやったことを伝える
恥ずかしいと後悔していることほど、正直に話すことは難しい
でも、自分の中で向き合うことによって、正直に話すことができるようになっていく
死刑制度についても触れられており、私も考えさせられる内容がたくさんありました
コーチング Coaching におけるの内省 reflection がもたらす効果について以前勉強したのですが、自分の中で向き合うことで自分の考え方が変わり行動が変わる姿が、とてもしっくりきました
誰かに伝えることは難しくとも、自分の意見を持つことや内省につながると思います
おすすめしたい方
- 若い頃でも現在でも、誰にも話せないもやもやや不安定さを持っている方
- こんなこと考えているのは自分だけだ、自分は周りと違って変なんだおかしいんだと思いがちな方
10代の頃に感じていた劣等感や周りと比べて勝手にへこんでいたり、自分が普通じゃないと感じていたことが、今となってはホントに小さい悩みだったなと思い出しました笑
この本を中高生の方が読むのであれば、ぜひ最後までしっかり読んでほしいです
自分の中の憂鬱や狂気に向き合うからこそ、最後に希望を感じることができたのだと思います
さいごに
中村文則さんの本は何冊か読んでいます
どれもハッピーエンドとはいい難いのですが、いずれの本も内容が何か一つのストーリーのようなつながりを感じます
よくわからなかったけどなんか惹かれるものがあると思った方は、中村文則さんのほかの本を読んでみると、よりハラおち感があるはずです!

たまたまですが、死刑や冤罪をテーマにした小説を何冊か読んでいたことも、私の中で大きかったかも!
最後まで読んでくれてありがとう~ネタバレしてたらごめんなさい。でも、すごくいい本です!
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