山内マリコ「あのこは貴族」

文学

山内マリコさんのあのこは貴族を読みました。

きっかけは、2021年公開の映画「あのこは貴族」でした。映画をみて惹かれたので、原作を読みました。

私は地方都市のカトリック系中高一貫女子高を卒業したので、学生時代の描写には少し共感しました。

あらすじ

東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが20代後半で恋人に振られ、焦ってお見合いを重ねた末にハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。結婚をめぐる女たちの葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。

興味深かったところ

お姫様と王子様

子供のころから私立に進学し、そのままエスカレーター式で大学まで卒業し、コネ入社? で大手企業の会社員をしているような人と、地方の田舎から上京してきて、学費や生活費を稼ぎながら生活するものの、慌ただしい東京になじんでいるようでなじめていない人。

自分たちの世界がとても狭いことに気づかされる経験は、だれしもあると思います。高校生の頃、私がまさに感じていたことが、そのまま描かれているようでした。社会人になってみて、自分のいた環境が”普通”ではないと気付いた時を思い出しました。

華子や幸一郎のような環境は、東京以外の地方都市にも存在しています。そして、やっぱりそれはとても窮屈そうで、中にいる人から見たら普通の環境であり、彼らには彼らの悩みがあるのだなと思います。

アラサー女性の婚活

自分に合っている人や結婚相手を見つけることって、誰にとっても難しいことだなと思いました。東京のお姫様のような華子も例外ではなく、上手くいかない婚活に悩みながらも、行動していく姿は共感しました。婚活を通じていろんな人と会いながら、自分の希望や目標を見つけていく華子は、誰かに守られているだけのお姫様ではなく、自立しようとする女性として、しなやかでありたくましくもありました。

婚活に迷ったときは、自分の心に素直に従うことも重要なんだな、と思いました(笑)

女友達と友情

華子と学生時代からの友人の相楽さん、そして美紀。この三人の友情は、女子高出身の私にはすごく共感しました。本当は幸一郎に問い詰めるべきなんだろうけど…、三人で「相手は変わらないから自分たちが変わろう」とするところは、応援したくなりました。女性の年齢や社会的立場についても、三人の異なる視点での描き方は、とてもよかったです。20代と30代は、確かに同じ女の子では居られないけど、30代も仕事は楽しいし、40代を楽しんでいる人もたくさんいるから、そこはちょっと前向きでもいいかな。

真面目に、自分のペースで頑張ってきている人ほど、30代や40代を楽しんでいる人は、男女ともに多いかなと思います!

さいごに

もしかしたら、中高一貫校や私学に行ったことのない人は、なかなか分かりづらいかもしれません。

しかし、少しでもこういう経験がある方には、すごく共感できるとともに、フタをしていたちょっと卑屈になっていた感情を思い出すことになるかも(笑)

読んだ人にとっていろんな感想がありそうな、そんな一冊でした。私はとても面白かったし、共感できました!

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